〜杖道について〜
杖道について,剣道との比較,初心者の進度,免許・目録制度についてまとめました。
〜剣道と杖道の比較〜
項目 | 剣道 | 杖道 |
武具 | 竹刀 | 杖と太刀(木刀) |
防具 | 着用する | 着用しない |
稽古方式 | 基本的に実際に打ち合って稽古する。 | 決められた「形」を繰り返し反復して稽古する。 |
試合形式 | 相手と1対1で自由に打ち合い,制限時間内に有効打突を2本決めた方が勝ち。 | 2人1組で参加し,2組同時に演武して優れていた方が勝ち。 |
特色 | 基本的に1つの持ち方でとことん打ち合う「実戦形式」。 | 体全体を使って様々な動き(打・突・払)を左右均等に行う。 |
必要な体力 | 激しい動きが多く,それなりに体力が無いと厳しい場合もある。 | 人それぞれの体力に応じた稽古が可能。ただし,トップを目指すなら厳しい稽古が必要となる。 |
その他 | スピードが速い・反射神経の良い人程強くなる傾向がある。 | スピードだけではなく,技の正確さ,間合い,呼吸等,かなり複雑な要素がからむので,凄まじく奥が深い。 |
相手と実際に打ち合うため,勝ち負けがはっきりしやすく,実感も強い。 | 相手と比べてどうかということよりも,自分で如何に納得できるかという「自己鍛錬」の意味合いが強い。 |
初心者の方が入門して稽古を始めた場合,まずは,「立礼,座礼等の礼儀作法全般」,「武具の名称,持ち方等」を覚えてもらい,続いて杖に慣れ親しんでもらうために「杖道体操」を行います。 杖道体操と平行して,「構え」「基本動作」を少しずつ稽古していきます。基本動作がある程度身につくのには,半年から1年程稽古する必要があります。 基本動作が身についてきたら,徐々に「特殊技」「表」等の形に入っていきます。表の前半6本(太刀落〜右貫)まで進むのには,だいたい入門から2年程かかります。 その後は進度に応じて表の後半,中段,乱合と進んでいきます。 なお,ここに示した期間は目安であり,人によって進度は異なります。当然,多く稽古して修得が早い人は,進度も早くなります。 また,鎖鎌術や十手術等の各種武道は,ある程度杖が身につかないと困難であるため, 最初は必ず「杖道」を稽古することになります。 |
当会では,全日本剣道連盟から認定される「称号・段制度」とは別に古来からの伝統を引き継ぐ「免許・目録制度」を実施しております。 免許・目録を得るために明確な基準や試験があるわけでなく,師範が「見合った実力がついた」と認めた場合にのみ伝授されます。そのため,最初の奥入證に到達するまで10年近くかかることも少なくありません。 免許を伝授されるということは「師範として認められる」ということと同じ意味を持つため,誰でも続けていれば免許を伝授される訳ではありません。技及び人間性に優れた人のみ,免許の伝授が許されます。 |
奥入證 | 表,中段,乱合,影,五月雨,五本の乱まで習い, 奥伝の一本目を習うことが許可された証。 |
初目録 | 奥入證伝授後,奥伝を全て習い,更に技を磨き, 表・中段を指導することが許可された証。 |
後目録 | 初目録伝授後,更に技を磨き, 影・五月雨を指導することが許可された証。 |
免許 | 後目録伝授後,更に技を磨き, 表から奥伝までの全ての技を指導することが許可された証。 技だけでなく人間性も認められることが必要。 |
免許皆伝 | 免許伝授後,五夢想まで伝授された証。 |